<ランス・ジョー>
 1964年3月19日、ホノルルの生まれ。1985年からギターを弾き始め、同年、作曲も始める。プロ・キャリアのスタートは1992年にカセットのみでリリースされたEP盤「The Light Project」(Lighthouse Productions)。これは、ジョン・バセバセ、そして、後にランスとアット・セカンド・グランスを結成するパートナー:ギャレン・タクシ、そしてランス・ジョー、この3人で手掛けたプロジェクトでアルバムには4曲7テイクが収録されている。作詞・作曲は主にランスが手掛け、ランス、ジョン、ギャレンの3人+ティファニー・カマイ(ティファニー・キャタルファーノ)の計4人がリード・ヴォーカルを分け合っている。  その後ランスはギャレン・タクシと共にデュオを結成。アット・セカンド・グランスと名付けられたそのデュオは1995年にKabuki Boy Musicなるレーベルからアルバム「At Second Glance」を発表。2人の巧みなソングライティング&ヴォーカルをフィーチャーしつつ、カナダのシンガー:ティム・フィーアンがフットルース在籍時に放ったヒット・チューン<Leaving For Maui>のカヴァーもあったり、コアなAORフリークから熱い注目を集めている。このアルバムは2曲のボーナス・トラックを収めて、今回、クール・サウンドから国内でも紹介されている。  アット・セカンド・グランスは数多くのライヴも行い、デュオとして、ソングライティング・チームとして、非常に息の合ったところを見せていたが、しかし、お互いに他の仕事の制約等が少なくなく、結果的にデュオとしてのアルバムはこれ1枚で終了。ランスは改めて、ソロ・アーティスト、ソングライター、プロデューサーとしての活動に力を入れるようになる。そして2年後の1997年にMGCからアルバム「Dreaming」を発表するが、これはザ・ライト・プロジェクトでの作品、アット・セカンド・グランス時代の作品、それに新曲、この3つの音源からなる一種の集大成的作品であり、ランスのソロ名義を取りつつも約半数の曲で他のシンガーの声がフィーチャーされている、どちらかと言うと、ヴォーカリスト:ランス・ジョーよりもソングライターとしての面をアピールすべく1枚になっていた。そして、そのアルバムを母体にさらなるハイ・クォリティ化を実現したアルバムが、2002年にクール・サウンドからリリースされた「Dreamwalking」。自らリード・ヴォーカルを務める4曲以外は、デイヴ・トマ、ダーラ・ショート、ジョン・バセバセなど、ハワイのアダルト・コンテンポラリー・ポップ・シーンきっての実力派がヴォーカルを分け合い、アルバム全体にゴージャスな風を吹き込んでいる。  そして、2003年にLAで制作し始め、Honoluluでそれを仕上げ、Tokyoのレーベルから発信、というコンセプトのアルバム「LA-Honolulu-Tokyo」を発表。ビル・キャントス、ジェイ・グレイドン、デヴィッド・パック、ジェフ・ペセットといったL.A.のAORシーンを代表するヴォーカリスト / プレイヤーとコラボレートし、さらに、ハワイの伝説のデュオ:トマ / ナットのリユニオンにもアプローチ。そして現在はカウアイ島で生活するマイケル・ラフも参加し、アルバムは完成。そのオープニングを飾るナンバー<Cool Sound>はレーベルの5周年を祝う内容になっている。  それから6年。ランス・ジョーは、デイヴ・トーマ、ジョーグ・アルフターとのユニットで新作を制作する傍ら、2003年作品でやり残した事を心行くまでリメイクし、「LA-Honolulu-Tokyo Re-visited」としてアルバムを発表。4曲を再構築したのに加え、3曲の新録も追加収録。そのうちにの1曲、<In My Dreams>では、再びジェイ・グレイドンがギター・ソロで参加している。